人と人をつなぐ、情報伝達手段。その一つに印刷技術がある。川崎駅西口大通り沿いに1950年から店舗を構える印刷会社共栄堂。2代目の中谷克宏氏が今回の主人公だ。
幸区で生まれ育ち、大学を卒業後は大手印刷会社ヘ就職。印刷技術を学んだ。その後、25歳のときに個人事業主として印刷をベースにした企画・デザイン会社を立ち上げる。店舗の開店PR等の仕事を中心にバブル景気もあり、順調な経営が続いていた。
しかし、バブル崩壊と印刷業界の多様化を見据え、94年に父である先代中谷潤氏より共栄堂を引き継いだ。父から任されたからとはいえ、ほとんどが創業以来、先代と苦楽を共にしてきた従業員であり、社長の生まれる前からの社員もいた。当然2代目の若造の言うことなど聞く訳もなく、高度経済成長期の景気が永遠に続くという雰囲気だったという。
しかし、社訓にある「誠心誠意」で真摯に向き合い、また、地域に根差すためにライオンズクラブや商工会議所にも入会し地道に活動を続ける中でいつしか信頼を得るようになったという。
今後の展望を尋ねると、「川崎が大好きで川崎に育てられました。川崎駅西口至便という立地を生かして、印刷や企画デザインの地域相談窓口になれるような『デジタルコンビニ』のような店舗にしていきたいですね」と笑顔で語る。常に相手のことを第一に考え、最適な提案をし続ける中谷社長は今日も誠心誠意でお客さまを出迎えている。
*2016年4月『神奈川新聞』より抜粋